聴く態度~死んだクワガタと とれた頭の話~

最近、危なく子供の心を傷つけてしまいそうになった出来事がありました。

「話をちゃんと聴く」ということは、意識していないと聴いてるつもりで全然聴けていないということになりかねません。

「人の話を聴く」という、一見些細なことです。

でもそれは、日常を極上にするための大切なテーマです。

この話、あなたはどう感じますか?

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我が家の三男は小学4年生。

今年の夏、欲しくて欲しくて

おばあちゃんにねだって買ってもらったクワガタのつがい。

ノコギリクワガタはわりに弱い品種で、なかなか冬は越せないのだとか。

やはり秋口に死んでしまいました。

息子はがっかりしたものの、大事に標本にしたんです・・・オスだけは。

メスは標本にはしないというので

「お墓を作ってあげなよ」と伝えていました。

で、しばらくしたある日。

庭の金柑の木の枝に、メスのクワガタの亡骸を発見!

しかも、頭が取れて、道路側に落ちている…

これ見たら、皆さんだったらどうします??

私は、命をないがしろにしている息子に対して

「今夜、必ず叱らなくっちゃ!!」と思いました。

欲しい時だけ騒いでおいて、

死んじゃったら、こんな可哀そうな扱いをするのか!と。

夕飯の後、息子を呼んで座らせ、叱る気満々で

「土に返してあげるように言ったのに、いったいどういうことだ⁉」

と、ちょっと怒ってききました。

この時、私の中には二つの思いがありました。

ひとつは、

「命を粗末にするような息子を、正さなくてはいけない。」

という怒りと悲しみの混じった、親の責任感のようなもの。

もう一つは

「私の息子はこんなにひどいことを平気でする子なんだろうか??

どんな思いで、亡骸を枝にのっけておくという行為に及んだのだろう?」

という疑問。

私の話を聞きながら、息子が委縮していくことに、私は気が付きました。

この時幸いにも、後者の気持ちが勝ったんですよね。

「どうしてこんなことをしたのか知りたい」という気持ち。

そこで、コーチスイッチがオンになりました。

(コーチは話を聴くのが仕事なのです^^)

私がしたことは、

①息子は座っていて、私は立っていたので、私も座って目線を合わせました。

②威圧的な表情、声のトーン、言葉遣いにならないように、

怒りや悲しみ、息子を疑う気持ちをいったんわきへ置きました。

③「お母さんにはあなたの行動が理解できないから、教えて?」とできるだけ穏やかに抑えて言いました。

すると、黙り込んで固まっていた息子が話し始めてくれました。

考えながら、気持ちを何とか言葉で表そうとしていて、話し始めるまでにはしばらく時間がかかりました。

話を聴いていくうちにわかったことは、

金柑の木の枝に留まらせてあげることが

彼にとっては「自然に返してあげる」イメージだったということでした。

頭が取れて落ちたのは、ただの時間の経過によるもので(^^;)

そういえば、今年の夏、コクワガタが金柑の木にとまっていて捕まえた、という経験がありました。

だから、ケースに入れられていたクワガタを金柑の木にのせることは、彼にとっては自然に返すということにつながると感じたのでしょうね。

それを聞いたとき、

頭ごなしに叱らなくて本当に良かったと思いました^^

その後、

「なるほど。よくわかったよ。

でも、頭が取れていて、アスファルトに落ちていて、可哀そうだとお母さんは思ったんだよね。

土に返してあげた方がいいと思うんだけど、どう?」

と提案してみました。

結果、彼は次の日早起きして、埋めてあげていました。

この話を通して何が言いたいかというと

人の話を聴くときは、

いったん自分をわきに置くという作業が大事だということです。

「自分」とは

◆こうありたい、こうあるべきという、大事にしている信念や価値観

◆その時沸き起こる、怒りや悲しみ、不安などの感情

◆励ましたいとか説教したいとか、相手をどうにか変えたいという気持ち

◆きっとそうに違いないという、固定観念や枠組みや囚われ、常識

次に何て言おう?と考えたりすること

これらは専門用語では「ブロッキング」と言ったりします。

ブロッキングが起こると、話は聞けなくなります。

自分に意識が向いているからです。

まずはこのブロッキングに気づくことが先決です。

気づけば横に置けますから^^

ただ、関係が深い相手だと、相手に対する期待や思いが強い分、自分をわきに置くことは難しくはなります。

でも、

スキルなので、意識していけば誰でも必ずできるようになります^^

ご自身がどんなブロッキングを起こしやすいのか?

自分を観察してみてくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございます^^